ジョー・ジャクソン「ステッピン・アウト」

僕は子どものころ、おでこが広かった。
友だちからは、将来ぜったいハゲるといわれていた。

で、実際はどうかというと、ハゲてはいない。
髪の毛の量も自分でもうんざりするほど多い。
生え際はひょっとしたら上がってきているのかもしれないが、
前述のとおり子どものころからデコ面積が広かったので、
なんともいえない。

そんな僕がこんなことをいうのもなんだが、
ハゲているのは決してカッコ悪いことではないと思う。
むしろカッコ悪いのは、
ハゲを隠そうとしてバーコード頭にしたりといった
無理くりなヘアスタイルにすることではないだろうか?


もし僕がハゲたとしても、僕はなにもしない。
いまだって白髪染めすらしていないのだ。
薄くなっても自然体でいこうじゃないか
!!

『ステッピン・アウト』という曲で
ジョー・ジャクソンを知ったのは、
1983年の冬。
その当時すでにジョー・ジャクソンの髪は薄くなっていた。

ジョー・ジャクソンは
1954年生まれなので、
20代から薄毛だったわけだ。

しかし、ジョー・ジャクソンのそのルックスは全然カッコ悪くなく、
その洗練された音楽性とあいまって
実に都会的な雰囲気を全身から醸し出していた。

このころジョー・ジャクソンは離婚して、
母国イギリスからニューヨークに移住。
新たな環境のもとラテン音楽の影響を強く受け、
1984年には大傑作“ボディ&ソウル”を発表した。

その後もさまざまなアプローチで独自の音楽をつくり続けていたのだが、
90年代にうつ病となり音楽業界を一時引退してしまう。
それでも
1994年には病気を克服し、
ミュージックシーンに見事カムバックしてきた。

以来、ミュージシャンとして活動を続けるその一方で、
ニューヨークをはじめとする大都市における極端な禁煙条例への反対運動も展開している。


2003
年にはニューヨークの禁煙条例にうんざりし、
長年住んだニューヨークを離れ、イギリスに帰国したほどだ。


僕も喫煙者の1人として、
近年のファシズムともいえる
禁煙の風潮に違和感を覚えずにはいられない。
もちろん喫煙ルールは守るべきだし、
相手に対するおもいやりも必要だ。
しかし、昨今の嫌煙ムードはちょっと行き過ぎているように思える。
ワールドワイドでなにか見えない大きな力が働いているとしか考えられないのである。

喫煙は法律で認められている自由な権利のはずである。
その自由を見えないなにかが奪っているのだとしたら、
僕は嫌煙うんぬんよりも、そっちのほうに恐怖を覚える。


離婚を経験したり、うつ病に苦しんだり、禁煙運動に反対したり
・・・人生のメインストリートだけを歩いてきたではないであろう
そんな人間くさいジョー・ジャクソンが僕は大好きだ。

まだまだ
50代半ば。老け込む年齢ではない。
髪の毛の量も関係ない。

ジョー・ジャクソンからまた、
素敵な作品が届くのを楽しみにしている。


2007.02