サンタクララ「男と女」
後輩の女性デザイナーが、
やっかいな相談事をもちかけてきた。
男に関する相談である。
今年の5月、
連日の終電帰りで疲労のピークに達していた彼女は、
帰りの電車のなかで立ったまま眠ってしまっていたという。
そしたら、ある男が近づいてきたという。
そしてナンと、
彼女にいきなりキスをしたというのだ。
読者よ! 友よ!! 電車のなかで、
いきなり見知らぬ男にキスをされたら、
あなたはどういうリアクションをとるだろうか?
この日、彼女がとった行動はこうである。
その男に誘われるがままに電車を途中下車し、
ホテルに行ったという。
僕はこの話を、信じられない思いで聞いた。
まず、男の行動である。
いきなり電車のなかでキスをするとは大胆不敵。
やっていることは犯罪者と紙一重の行動である。
よほど、彼女を落とせると思っていたのであろうか?
そして彼女の行動にもビックリである。
この子は服装も地味だし、
まずはそんなに軽々しい女性には見えない。
フェロモンをまき散らしている女性とは、
むしろ対極にあるといった感じの子である。
なのに、なぜ彼女がその男にアプローチされたのか?
その男からは名刺をもらい、
僕の後輩デザイナーは携帯のメールアドレスを教えたという。
しかしその後、その男からは連絡がなかった。
彼女もあえて連絡をしようとはしなかった。
が、先月末、その男から連絡があり、
またホテルに行ってしまったという。
そして彼女は、その男を好きになってしまったというのだ。
男は彼女より6歳年下で、
見せてもらった名刺には「脚本・監督」という肩書きがあった。
彼女にこの男のウラをとったかと聞いたら、
ホームページに名前が載っていたという。
彼女は自分自身で、
なんでこんな風になったのか信じられないといっていた。
仕事で疲れ果てて、
ふと誰かにやさしくされたいと思う瞬間が生ずるのは理解できる。
しかし、この出会いは明らかに異常だ。
僕は彼女に「都合のいい女にだけはなるな」とアドバイスした。
それにしても男と女というのは、本当にわからない。
何が正しくて何が間違いなのかなんて、
そのルールは男と女の組み合わせの数だけあるといっても過言ではない。
ただひとついいたいのは、
僕のまわりにいる女性の誰もが
「ハードラック・ウーマン」にはなってほしくないなということである。
ちなみに彼女は明日、
1年前に告白してフラれた小学校時代の同級生と会うらしい。
なんでも突然、
「聞きたいことがあるので会ってほしい」というメールがきたというのだ。
これについても僕は意見を求められた。
僕は本当に何か聞きたいことがあって連絡してきたのか、
1年前はフッたもののやっぱり会いたくなったのかどっちかだろうと答えた。
もし後者だった場合、彼女はどうするのだろう?
男と女といえば、映画“男と女”のテーマ曲、
あの「シャバダバダ シャバダバダ♪」というメロディラインが思い浮かぶが、
もうひとつサンタクララの『男と女』も忘れてはならない。
僕が中学2年生だか3年生のときに何度かテレビで見たことがあるのだが、
詳しいことは憶えていない。
メロディラインもサビの一部分しか記憶にない。
のだが、妙に想い出すことがある。
一度でいいから、もういっぺん聴いてみたいぞ。
サンタクララ。